2014/05/01

自殺者が急増するうつ病患者100人に効果を発揮

糖尿病の患者さんにうつ痛が多いことは、以前から知られていました。海外の研究では、糖尿病患者は、そうでない人の2倍以上、うつになりやすいと報告されています。
行った調査でも、同じような結果が出ています。糖尿病の治療を受けている患者さんのうち、約37% にうつ症状があり、そのうち8%は治療が必要なうつ病でした。この数は、一般成人の約2倍です。
一方、うつ病L患者にも糖尿病が多いことが指摘されています。
これは日本で行われた調査ですが、成人男性を8年間追跡調査したところ、うつ的な気分の強い人はそうでない人の2.3倍、糖尿病になりやすいという結果が出ています。
このように、うつ病と糖尿病には、相互に深い関係が見られます。私は以前、内科と連携して糖尿病患者の、不眠症や抑うつ状態といったうつ症状を治療したことがあります。そのときわかったことは、うつ症状が改善すると、血糖コントロールがよくなり、食事などで血糖コントロールができるようになると、うつ症状も改善することです。このことから、血糖値の高いうつ病患者に食事指導をすれば、うつ病も改善するのではないかと考えました。
そして、うつ病の治療に栄養・食事療法を取り入れるようにしたのです。これまで、100例以上の症例で成果を上げています。その中の、非常に顕著にうつ痛が改善した例を紹介しましょう。

Aさん(60代・女性) は、もともと活発な人で、それまで家事も近所づきあいもうまくこなしていました。ところが、5年前に体調をくずしてから気力がわかなくなり、まともに家事ができなくなったのです。

うつ病と診断され、いろいろな薬を試しましたが、症状は改善せず、半年後に入院。退院後も、少しも改善はありませんでした。
一方で、食欲はあり、1日5食も食事をとっていました。2年前に私が担当医になつたとき、Aさんの体重は発病前から20kgもふえ、血糖値、コレステロール値ともに高くて、糖尿病、脂質異常症、肝機能障害が認められました。すぐに、食事療法を開始し、夜の10時には床に就くよう指導しました。

Aさんは食事を3食にへらし、夜10時に就寝するようになり、薬も規則正しく飲めるようになりました。3ヶ月後、洗濯物を自分で干すまでに改善。その後も順調に快方に向かい、半年後には血液データが正常になり、体重もうつ病になる前の備に戻りました。Aさんのように、ずっと食欲がなかったうつ病患者が食べられるようになると、家族は、「食べられるのはよいこと」と思い、どんどん食べさせます。しかしそれが、逆にうつ病を悪化させてしまうので注意が必要です。


うつ病の治療に取り入れている生活指導の目標は、次の3つです。
  1. 3食きちんと食べる
  2. バランスよく食べる
  3. 22:00には就寝する
うつ病患者の多くは、食事のとり方に問題があります。1日2食で済ませたり、1つの食品にこだわって食べたりするのです。結果、食後高血糖になつたり、栄養が不足したりします。ところが、食事療法を取り入れると、生活のリズムが整い、栄養の過不足もなくなつてきます。また、服薬もきちんとできるようになるので、相乗的にうつ痛が改善していきます。

うつ病は、食事療法を取り入れることが、非常に有効です
うつ病治療の基礎は薬物療法で、食事、栄養の改善は、あくまで補完的な治療であることを忘れてはいけません。

コメント

非公開コメント