2014/04/29

うつ病患者に不足しがちな栄養素を十分に摂取し、特に鉄不足に注意する

うつ病の患者が、ふえています。この10年間で倍増して100万人を超え、潜在思者を含めると、20人に1人です。基本的にまじめでいいかげんにできない人に多いのが特徴です。

これだけうつ痛がふえたのは、ストレスの多い社会環境のせいだけではありません。

現在、行われているうつ病の治療が、必ずしも十分ではないということもあります。日本では、うつ病の治療は抗うつ剤の投与、心身の休息、心理療法が中心です。
これまで、食事や運動などの生活習慣については、ほとんど考慮されていません。

しかし、海外の研究では、うつ病の発症に食生活や運動が関係していることが、数多く報告されています。例えば、地中海式食事に代表される野菜、魚介、穀物の多い食事をとっている人は、心臓病やガンなどの生活習慣病だけでなく、アルツハイマー型認知症や、手足が震えるパーキンソン病、うつ病といった精神・神経系の病気も少ないことがわかっているのです。
日本でも便秘のためには地中海式の食事がいいとされていますが、うつに関連する研究はまだ遅れています。

日本の伝統的な和食は、この地中海式食事に通じるところがありました。しかし、時代とともに食事が変わり、現代では肉やその加工食品、砂糖や白米のような精製食品が多くなり、伝統食とかけ離れてしまっています。それが、うつ病の発症に少なからず影響を及ぼしています。

一般に、うつ病患者はやせていると思われがちですが、必ずしもそうではありません。むしろ、肥満ぎみで中性脂肪値や血糖値が高く、メタポリック症候群の人が多い傾向があります。

その理由として、先ほど書いた食事の変化や、不規則な生活、運動不足などが挙げられるでしょう。つまり、うつ病も生活習慣病の1つといえるのです。
また、うつ病になると肥満になりやすく、肥満はさらにうつ病を悪化させるという、負の連鎖を招きます。この双方向の関係は、うつとメタポリック症候群、うつと糖尿病の間にも見られます。食生活の見直しは、うつ病だけでなく合併する生活習慣病改善のためにも必要です。

ところで、うつ病患者には、一部の栄養の不足が指摘されています。それは、ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸、必須アミノ酸のトリプトファン、メチオニン、チロシン。

また、魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸) とDHA(ドコサヘキサエン酸)、さらに鉄分、亜鉛などのミネラルです。これらの栄養を補充すると、うつ痛が改善することもわかってきています。こうしたことから、うつ病の患者さんの食事や栄養を調べ、栄養学的に問題のある患者さんには個別に栄養指導を行い、大きな成果を上げています。日本人の場合、魚をよく食べるので、EPAとDHAの不足はあまり見られません。

多いのは、葉酸、トリプトファン、鉄分の不足です。葉酸は緑黄色野菜に多いビタミンで、体内でいろいろなものの生合成に使われるため、必要量の多い栄養素です。その一方で、たんばく質や遺伝子情報を担うDNA、血液、神経系で働くカテコールアミンなどの生成に必要な物質です。カテコールアミンは、ドーパミン、ノルアドレナリンといった、ストレス反応やうつに関係する神経伝達物質です。不足すると意欲が低下し、抑うつ状態を招きます。

もしも葉酸が不足して、たんばく質や血液がじゅうぶんにつくられなくなると、それだけで元気がなくなってしまいます。それなのに、うつの人は野菜をあまり食べないので、特に不足しがちです。
トリプトファンは、セロトニンの材料になるアミノ酸です。うつ気分や不安感にはセロトニンが関与しています。このセロトニンから、睡眠物質であるメラトニンがつくられるため、トリプトファンが足りないと、セロトニンもメラトニンも不足して、うつや不眠の原因になります。鉄分が不足すると、疲労、焦燥感、無関心、集中力低下などのうつ症状が現れることが知られています。

鉄分の欠乏は女性に多く、特に出産すると多量の血液を失い、鉄分不足がひどくなります。産後うつは、この鉄分不足と無関係ではありません。実際に海外では、うつの治療に、こうした栄養の不足を補うサプリメントが使われています。しかし、まずは食事で、足りない栄養を補いましょう。鉄不足の治療無茶なダイエットが貧血を招くこともありますので、10~30代の女性は特に注意しなければいけません。体が痩せているのにダイエットをやめない女性は貧血からうつに移行している場合があります。この場合、食事をとるようにすすめても難しいので貧血改善に薬やサプリを活用したほうがいいでしょう。

野菜や魚など、上記の栄養が足りていないという自覚がある人は、ふだんから積極的にとるように心がけてください。

なお、不足している栄養素は、血液検査で調べることもできます。また、うつ病を予防するためにも、栄養の偏りがないように、バランスよく、1日3食きちんと食べましょう。
そうすれば、大きな栄養の過不足は生まれません。特に、朝食は、生活リズムをつくるうえで重要なので、必ず食べるようにしてください。

きちんと食事をして、体をできるだけ動かし、十分な睡眠をとれば、うつ病は予防・改善できます。生活習慣病であるうつ病を治すには、生活習慣の見直しが基本です。

米ぬか脳活性食は認知症の改善率7割で発症・進行を抑え薬が効きにくい人にも有効でも紹介されているとおり米ぬか由来のサプリが非常に高い効果を発揮しています。
食事の内容を見直した上で使えば相乗効果も高まるでしょう。
2014/05/01

自殺者が急増するうつ病患者100人に効果を発揮

糖尿病の患者さんにうつ痛が多いことは、以前から知られていました。海外の研究では、糖尿病患者は、そうでない人の2倍以上、うつになりやすいと報告されています。
行った調査でも、同じような結果が出ています。糖尿病の治療を受けている患者さんのうち、約37% にうつ症状があり、そのうち8%は治療が必要なうつ病でした。この数は、一般成人の約2倍です。
一方、うつ病L患者にも糖尿病が多いことが指摘されています。
これは日本で行われた調査ですが、成人男性を8年間追跡調査したところ、うつ的な気分の強い人はそうでない人の2.3倍、糖尿病になりやすいという結果が出ています。
このように、うつ病と糖尿病には、相互に深い関係が見られます。私は以前、内科と連携して糖尿病患者の、不眠症や抑うつ状態といったうつ症状を治療したことがあります。そのときわかったことは、うつ症状が改善すると、血糖コントロールがよくなり、食事などで血糖コントロールができるようになると、うつ症状も改善することです。このことから、血糖値の高いうつ病患者に食事指導をすれば、うつ病も改善するのではないかと考えました。
そして、うつ病の治療に栄養・食事療法を取り入れるようにしたのです。これまで、100例以上の症例で成果を上げています。その中の、非常に顕著にうつ痛が改善した例を紹介しましょう。

Aさん(60代・女性) は、もともと活発な人で、それまで家事も近所づきあいもうまくこなしていました。ところが、5年前に体調をくずしてから気力がわかなくなり、まともに家事ができなくなったのです。

うつ病と診断され、いろいろな薬を試しましたが、症状は改善せず、半年後に入院。退院後も、少しも改善はありませんでした。
一方で、食欲はあり、1日5食も食事をとっていました。2年前に私が担当医になつたとき、Aさんの体重は発病前から20kgもふえ、血糖値、コレステロール値ともに高くて、糖尿病、脂質異常症、肝機能障害が認められました。すぐに、食事療法を開始し、夜の10時には床に就くよう指導しました。

Aさんは食事を3食にへらし、夜10時に就寝するようになり、薬も規則正しく飲めるようになりました。3ヶ月後、洗濯物を自分で干すまでに改善。その後も順調に快方に向かい、半年後には血液データが正常になり、体重もうつ病になる前の備に戻りました。Aさんのように、ずっと食欲がなかったうつ病患者が食べられるようになると、家族は、「食べられるのはよいこと」と思い、どんどん食べさせます。しかしそれが、逆にうつ病を悪化させてしまうので注意が必要です。


うつ病の治療に取り入れている生活指導の目標は、次の3つです。
  1. 3食きちんと食べる
  2. バランスよく食べる
  3. 22:00には就寝する
うつ病患者の多くは、食事のとり方に問題があります。1日2食で済ませたり、1つの食品にこだわって食べたりするのです。結果、食後高血糖になつたり、栄養が不足したりします。ところが、食事療法を取り入れると、生活のリズムが整い、栄養の過不足もなくなつてきます。また、服薬もきちんとできるようになるので、相乗的にうつ痛が改善していきます。

うつ病は、食事療法を取り入れることが、非常に有効です
うつ病治療の基礎は薬物療法で、食事、栄養の改善は、あくまで補完的な治療であることを忘れてはいけません。
2014/05/03

納豆、おくらのねばねば食品が血糖値の急激な上昇を抑制

現在、日本人の20人に1人が、毎年、うつ病にかかっているといわれています。うつ病の治療法といえば、これまでは薬物療法と休息がメインでした。

ただし、抗うつ剤が効かない人も多く、うつ病の治療は困難を極めてきました。そんな中、最近は食事を改善することで、うつ病を軽減できることがわかってきており、大きな注目を集めています。うつ病になる主な原一因は、強いショックやストレスが心身にかかり、脳内の神経伝達物質の働きが鈍くなるためだとされています。

なかでも、心を平常心に保つ働きのあるセロトニンという神経伝達物質の合成が低下すると、抑うつ気分が出てきます。そこで、うつを治すためには、セロトニンをふやすことが大切なのです。
セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸が脳に取り込まれて生成されます。たんばく質は20種類のアミノ酸が結合してできていますので、たんばく質をたくさん摂取すれば、セロトニンがふえると思いがちです。しかし、ここには落とし穴があるので要注意です。

ちなみに、トリプトファンは中性アミノ酸の一つですが、バイリン、ロイシン、イソロイシンなどの、ほかの中性アミノ酸と比べて、含有量が非常に少ないのです。

脳が、中性アミノ酸を取り込むときには、共通の輸送経路を通って入っていきます。そのため、ほかの中性アミノ酸と出航合してしまい、結果的に、脳に届くトリプトファンが非常に少なくなつてしまうのです。そこで、私がお勧めしているのが、高炭水化物の食事です。炭水化物をとると、膵膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。

インスリンは、トリプトファン以外の中性アミノ酸を、筋肉に取り込ませます。そうすることで、トリプトファンが脳に入っていきやすくなり、脳内のセロトニンをふやすことができるのです。とはいえ、高炭水化物の食事は、ある点に注意しないといけません。むやみに炭水化物を多く摂取すれば、食後高血糖を招くからです。実は、砂糖摂取量の多い国は、うつの割合が高いという調査結果があります。これは、どういうことでしょうか?

炭水化物を摂取すると、食後に血糖値が急上昇します。しかし、人問の体は、急激な血糖値の上昇に際し、タイミングよくインスリンを供給できないことがあるのです。
そのため、遅れて大量のインスリンを供給してしまいます。すると、今度は、血糖値は一気に急下降し、低血糖状態になるのです。このように血糖が急上昇したり、急降下したりすると、脳はパニック状態に陥り、不安やイライラ、恐怖を感じるようになります。つまり、うつ病の発症や悪化を招きかねないのです。

したがって、うつを克服するための1 つの要素としては、血糖値の大きな変動、特に食後血糖値の急上昇を抑制する食事をすることが大切になります。


血糖値を急激に上げないためは、GI値の低い食品を食べることです。GI値というのは、食後血糖値の上昇の度合いを、ブドウ糖を100とした場合の相対値で表したもの。GI値が高ければ血糖値が上がりやすい食品、低ければ血糖値が上がりにくい食品となります。

炭水化物の中では、白いご飯やパン、砂糖などはGI値が高い食品です。しかし、ご飯でも玄米や七分づきのもの、パンでも全粒粉を使ったものならGI値は低くなります。

そこで、高炭水化物・低たんばく質食を実行する際には、炭水化物はなるべくGI値の低い食品を選んでください。

また、納豆、オクラ、ヤマイモといった、ネバネバ食品をおかずにして食べるのもよい方法です。
ネバネバ食品をいっしょに食べると、食後の血糖値の上がりぐあいを、壌やかにする効果があるからです。このように食生活を工夫すれば、血糖値の急上昇を防いで、トリプトファンを脳にたくさん取り込めるようになります。そ、フなれば、セロトニンの生成が高まり、うつ症状も軽減できると考えられるでしょう。加えて、食事では、ビタミンやミネラルなどをバランスよく摂取することも、うつ病を防ぐために重要です。実際、うつ病になると、ビタようさんミンB1、B2 、B6、B12、葉酸で、野菜や海藻、キノコ類、魚などを積極的に食材として取り入れることをお勧めします。さらには、食事は一人でとるのではなく、家族や友人とともにとることが、うつの予防に重要です。

そうすることで、会話が生まれ、生活のリズムができ、心の安らぎが得られるからです。食事は、「生きるために食べる」以上の意味があります。食生活を含む生活習慣が、脳や心に大きな影響を与えます。食事の内容や環境を大切に考えて、健やかに毎日を送ることが大切です。
2014/05/06

特製ジュースとぬか、きな粉、ゴマで作る「ぬきご」がうつに効く

結婚して26年日のことです。突然、夫がうつ病と診断されました。原因は、職場が変わったことにあったようです。夫は、うつ病が発症する2年半ほど前に、中間管理職として新しい会社に赴任しました。
環境が変わり、強いストレスにさらされていたようなのです。

夫は精神科に通院し、数種類の薬を服用しました。しかし、症状は思うように改善せず、会社には休職届けを出して、寝込む日が多くなりました。

そのときき、私が思い出したのが、栄養士として保育園で給食を作っていたときの体験です。保育園で、私はとても驚きました。園児たちは、育ち盛りで元気いっぱいのはずです。しかし、ぼーっととしている子、落ち着きのない子、すぐにイライラする子が目立ちました。
子供たちの食事を調査したところ、朝ご飯を食べていない子や、レトルト食品ばかり食べている子が多く、野菜が足りないことがわかりました。そこで、保育園で食べる昼食を、無国籍メニューから、栄養バランスの優れた和食中心に切り替えたのです。すると、子供たちの情緒が安定し、便秘も解消され、ぐんぐん元気になりました。

同時に、職員の体調も改善しました。

私は「心の病は、栄養不足による脳の働きの不調によって起こる」ことを知ったのです。夫の病を治すために、栄養士として食事療法を実行する闘志がわき出てきました。

うつ病をよくするには、脳の神経伝達物質のセロトニンの働きを、よくする必要があります。これには、鉄分、カルシウム、亜鉛などのミネラル成分、ビタミンB群、ビタミンCを補わなくてはいけません。

以前から夫は、私が作る料理やお弁当から、標準的に栄養は補給していたと思います。しかし過度なストレスで、必要以上に心身が消耗し、栄養が身につかなかったのかもしれません。食欲がほとんどなくお酒ばかり飲んでいたことも短期的に栄養失調状態になっていたかもしれません。

まず、血液検査で鉄分不足であることがわかったので、それを補うために、特製ジュースを飲んでもらいました。これは、バナナ、リンゴ、ニンジン、黒酢、乳酸菌飲料、煮干しをミキサーにかけたものです。

食事は、3分づきの米に雑穀、高野豆腐を混ぜたご飯、コンプと煮干しでだしをとったみそ汁、サケ、ダイコンおろし、チリメンジャコ、納豆、ヒジキの煮物といったメニューを、毎日の定番にしました。さらに、青背の魚やダイズ製品を多めに、肉は少なめにし、旬の野菜、根菜の煮物や酢の物も添えるようにしました。

さらに「ぬきご」を食べてもらいました。これはオリジナルメニューで、ぬか、きな粉、ゴマを合わせたものです。ぬかには、抗うつ効果があるといわれるセレンというミネラルや、ビタミンBやビタミンEが大変豊富です。さらに、たんばく質の多いきな粉、鉄分やカルシウムが多い黒ゴマを、いっしょにとれるように併せて用意しておくのです。まず、同量のぬかときな粉とゴマを用意します。最初に、ぬかをサラサラになるまで弱火で30分くらいじっくり妙めます。
火を止め、ぬかを冷ましたところに、きな粉と、すった黒ゴマを合わせれば完成です。お好みで、きな粉とすった黒ゴマを、ふやしてもいいでしょう。

ぬかは、できるだけ無農薬、減農薬のものを使用するのがいいでしょう。市販品もあるようです。この「ぬきご」を、ホウレンソウやコマツナの和え物にしたり、ダイコンおろしにか」けてポン酢で食べたり、焼き飯、焼きソバに振りかけたりして食べます。卵焼きに混ぜても、カレーに入れても、ハンバーグに混ぜてもいいでしょう。
夫には「ぬきご」を、1日に最低でも大さじ3杯はとってもらいました。腸内環境が悪くて、下痢や便秘をくり返していたのが、しだいに便通が整い、食欲も出てきました。

うつむきがちでしたが、顔を上げるようになり、散歩もできるようになりました。テレビで『サザエさん』や『笑点』を見て、笑顔も出てきました。そして、うつ病の発症から、1年8ヶ月がたったころ、ついに、「うつ病完治」という診断が下りたのです。

食事がとれるようになってからは、西洋オトギリソウのサプリも飲んだのですが、これを飲み始めたぐらいから明るい表情をするようになったように思います。少し、いい感じ?という手応えがあると夫も安心して食事もとれるようになっていきました。

夫は、今までのことがうそのように、元気になりました。いつも明るく、冗談ばかり言っていたのにまさか!鬱になるなんて思わなかったので今回のことは本当に地獄~天国までを味わった気持ちです。
そして一番大事なのは、3度の食事だということもわかりました。

2014/05/08

緑茶がうつに効く(週に4回飲む)

「茶は養生の仙薬、延命の妙薬」。中国から日本に緑茶を伝えたえいさいとされる栄西は、このように緑茶の効能を説きました。

緑茶の健康を増進する効果は、それほど古くから知られていたのです。その後、確立された茶の湯がここまで普及したのは、この健康増進効果とともに、緑茶の精神を安定させる作用が、深くかかわっていると思われます。近年、緑茶とうつの関係が研究され、「緑茶をよく飲む人にうつ症状が少ない」ということが、報告されています。

それを踏まえて、うつ病と緑茶の関係を検証しました。まず、緑茶を飲む頻度とうつ病の関係は、どうでしょうか。精神科でうつ病と診断され、治療を受けている患者9名と、健常者111名に、直近1ヶ月間に、緑茶を何杯飲んだか聞きました。すると、週4杯以上と過3杯以下で、きれいに傾向が分かれました。過4杯以上飲む人には健常者が多く、過3杯以下ではうつ病L患者が多かったのです。

これまでの東北大学などの研究では、「緑茶を1日4杯以上飲む人にうつ症状が少ない」と報告されています。ところが、そんなに飲まない人々の中でも、緑茶をよく飲む人のほうがほとんど飲まない人に比べて、うつ病リスクが低いことが示唆されたのです。

では、緑茶のどの成分に、うつをおさえる作用があるのでしょう。緑茶の薬効成分として知られているのは、カテキン、テアニン、カフェインです。そのうち、うまみ成分のテアニンには、リラックス効果があることがわかっています。

実験用のネズミであるマウスに、テアニンを継続的に投与し、抗うつ作用があるかどうかを調べました。ビーカーにマウスを入れて泳がせ、じつとしている時間(無動時問)を計ります。テアニンを投与すると、この無動時間が明らかに減少しました。このテストは、強制水泳テストといい、抗うつ作用の有無を調べるオーソドックスな実験です。無動時間の減少は、意欲や元気が増したことを示し、抗うつ作用があると判断できます。

次に、テアニンのメカニズムを検討しました。マウスにテアニンを継続投与したところ、脳の海馬という場所にあるBDNFという物質が増加しました。

BDNFは、神経細胞が活動すると放出される神経栄養因子で、周りの神経細胞を元気にしたり、神経突起を伸ばしたり、シナプスという神経細胞の接合装置をふやしたりする働きがあります。つまり、神経細胞のネットワークを強固にするのです。うつ病患者は、海馬のBDNFが減少し、脳のネットワークが低下しています。もしも、テアニンの投与で脳のネットワークがふえたら、脳が活性化して、うつが改善するでしょう。

またテアニンは、アミノ酸の一つ、グルタミン酸とよく似た構造をしています。グルタミン酸は脳の情報伝達を担う物質で、神経を興奮させる方向に働きます。テアニンは、このグルタミン酸の受容体にくっついて、グルタミン酸の代わりに作用し、神経伝達物質のバランスを調整するのです。こうした働きを持つテアニンは、今、多方面から注目を浴びています。

テアニンは、お茶の木の根っこで作られ、先端にある葉まで上がっていきますが、途中で太陽の光が当たると分解し、カテキンの産生に使われます。しかし、玉露のように高価な緑茶は、日光を遮って栽培されるので、テアニンがうまみ成分として残っています。

したがって抹茶や玉露には、テアニンが豊富に含まれているのです。普通の煎茶にも、テアニンは残っています。玉露と比べて量は少ないですが、その分カテキンがふえます。カチキンはポリフェノールの一種で、緑茶の健康効果を代表する成分です。抗酸化作用が強く、高血圧やガン、購質異常症などの生活習慣病を予防する効果があるので、やはり有益な物質です。ちなみに、紅茶やウーロン茶には、テアニンは含まれていません。カチキンもかなり少なくなっています。
原料となる植物は同じでも、製造方法が異なるためです。私たちは、抗うつ作用の薬効を、今回はテアニンに求めましたが、カテキンやカフェインにもあるかもしれません。いずれにしても、緑茶をよく飲む習慣を持つようにすれば、うつ病を防げる可能性大なのです。
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